財務省の諮問機関である財政制度等審議会は29日、2018年度予算案の編成をにらみ、診療報酬本体と介護報酬の引き下げを求める提言(建議)を麻生太郎財務相に提出した。診療報酬に関しては、本体を引き下げ、薬価や材料費を含む診療報酬全体では20年度以降の診療報酬改定も視野に、1回当たり「2%半ば以上」の引き下げを要請した。民間の賃金や物価を超える水準で診療報酬本体が推移しているためで、建議では、財政の健全さを示す国・地方のプライマリーバランス(PB)の早期黒字化を達成するために、新たな計画の策定も求めた。【越浦麻美、兼松昭夫】
これにより、18年度予算案の編成に向けた診療報酬・介護報酬の改定率をめぐる調整は詰めの段階に入る。ただ、日本医師会などは逆に「本体プラス」を主張しており、調整が難航するのは必至だ。日医の横倉義武会長は同日午後、建議の取りまとめに先立ち東京都内で講演し、「(診療報酬)本体に(財源を)しっかり充てないと、病院の運営に厳しい結果を生む」などと危機感を表明した。
建議は、財政審・財政制度分科会の榊原定征・分科会長(東レ相談役)が麻生財務相に手渡した。榊原分科会長が診療報酬本体のマイナス改定に踏み込むよう求めたのに対し、麻生財務相は「手は抜かない」と応じた。田近栄治・分科会長代理(成城大経済学部特任教授)が同日の記者会見で明らかにした。
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