療養病棟でのリハビリテーションを充実させる方策が、来年春の診療報酬改定に向けた論点の一つになっている。日常生活動作(ADL)の機能が低下し、介護を要するために退院できない患者が一定程度いるとみられるためだ。中央社会保険医療協議会の「入院医療等の調査・評価分科会」が4日に開いた会合では、発症などから180日が経過すると脳血管疾患等リハの報酬が下がるといった「制度上の壁」を一部の委員が問題視した。【佐藤貴彦】
分科会が昨年度に行った医療現場の実態調査では、療養病棟の入院患者の2割強が、医学的には退院してもいい状態なのに、そのめどが立っていなかった。そうした患者が退院後に最も必要とするものも聞いたところ、食事や排泄、移動などのADLに関する介護が3割超だった=グラフ1=。
こうした結果を踏まえて、厚生労働省は4日の会合で「ADL機能を維持するためのリハの提供」と「入退院支援の取り組み」を促すための療養病棟の評価方法を論点として示した。さらに、発症日や手術日から一定期間が経つと、報酬を算定できる単位数が厳しく制限される上、患者が要介護認定などを受けていれば単価も下がる現行ルールを課題に挙げた。
これを受けて石川広己委員(千葉県勤労者医療協会理事長)は、一定の期間を過ぎてもリハが必要な患者がいることから現行ルールに「矛盾を感じる」と述べ、その見直しをにらんで、療養病棟の入院患者の分析を進めるよう求めた。
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