中央社会保険医療協議会(中医協)は26日の総会で、「認知症治療病棟入院料」の要件などの見直しをにらんで議論した。厚生労働省は、この入院料を算定する病棟の課題として、認知症に伴う行動・心理症状(BPSD)への対応や入退院支援の在り方などを挙げ、現状よりも短い入院期間で専門的な医療サービスを集中的に提供させるための方策を議論するよう促した。診療側の委員からは、入院患者の状態に応じて加算するなど、評価を拡充すべきだといった意見が出た。【佐藤貴彦】
認知症治療病棟入院料は、BPSDが著しい患者を受け入れ、専門的な医療サービスを集中的に提供する精神病棟の評価で、看護配置20対1以上などが要件の「入院料1」を計3万3791床、看護配置30対1以上などが要件の「入院料2」を計1166床で届け出ている(どちらも2015年7月時点)。入院期間に応じて3パターンずつ点数が設定されており、「30日以内」「31日以上60日以内」「61日以上」の順に点数が下がる。
そうした点数の設定方法は早期退院を促すためのものだ。しかし、同省がレセプト(15年6月審査分)を集計し、3パターンそれぞれの算定回数を調べた結果、「入院料1」では89.9%、「入院料2」では94.6%が「61日以上」だった=グラフ=。
26日の総会で厚労省は、そうした入院日数などの実態を踏まえた認知症治療病棟での入退院支援の在り方や介護サービスとの円滑な連携の推進などを論点として示した。
さらに、同省が関係省庁と共に策定した「認知症施策推進総合戦略」(新オレンジプラン)で、BPSDで入院した患者に対する「標準化された高度な専門的医療サービス」の集中的な提供や、身体合併症への対応力の向上などが精神科病院に求められていると指摘。BPSDや身体合併症を有する認知症患者に対する認知症治療病棟での対応の在り方も検討するよう促した。
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