厚生労働省は、テレビ電話などを使った遠隔診療と対面の外来診療とを組み合わせた禁煙治療の実態調査に乗り出す。全国の約2500施設の病院と診療所に調査票を送り、治療の実施状況などの把握を目指す。中央社会保険医療協議会(中医協)の専門部会の調査の一環で、中医協の総会が28日、その調査票案を了承した。調査は7月から8月にかけて実施され、早ければ10月にも結果が明らかになる。【佐藤貴彦】
調査の対象は、「ニコチン依存症管理料」の施設基準を届け出ている医療機関。この管理料は、日本循環器学会などの「標準手順書」に沿った禁煙治療の評価で、診療所から大学病院本院まで1万6000施設超が届け出ており、その中から無作為抽出する。
28日に示された調査票の案によると、学会の手順書に沿った禁煙治療(全5回)を終えるまでに患者が“脱落”するのを防ぐため、医療機関側がどんな工夫を凝らしているかを質問。その回答の選択肢の一つに、「受診の間に、テレビ電話等による遠隔診療を組み合わせて状況を確認する」を設ける=表=。
さらに、遠隔診療を組み合わせた治療の実施の有無や、遠隔診療との組み合わせで禁煙治療を行った患者数を、保険診療の対象者とそれ以外とでそれぞれ1カ月分尋ねる。
医師が患者をテレビ電話などで診る遠隔診療では、再診料など一部の診療報酬しか算定が認められていない。しかし、情報通信技術(ICT)の進歩を受けて安倍晋三首相が4月、「対面診療とオンラインでの遠隔診療」との組み合わせによる患者の継続的な経過観察を来年春の診療報酬改定で評価する方針を表明した。今月9日に閣議決定された「未来投資戦略2017」にもその評価が明記されたことから、遠隔診療の診療報酬上の取り扱いに注目が集まっている。
(残り590字 / 全1335字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】