中央社会保険医療協議会(中医協)の「入院医療等の調査・評価分科会」は21日の会合で、入院患者の退院をより円滑にするための診療報酬上の評価について議論した。厚生労働省はこれまで、患者の退院後の生活などを見据えた病院側のサポートを「退院支援」の名目で後押ししてきたが、この日は「入退院支援」に改めて資料を提示。入院・退院の両方をスムーズにするため、患者が入院するよりも前から支援を始める必要性を指摘し、その評価の在り方を論点に掲げた。【佐藤貴彦】
■包括ケアの中での支援の在り方が問われる
厚労省は、入院医療や外来・在宅医療を、患者が状態などに応じて受けられるようにサポートする機能が病院などに求められていると指摘。同省が各地での構築を目指す「地域包括ケアシステム」で、患者が状態の変化とともに、多様な医療・介護サービスを利用することが想定されるためで、医療に限っても、切れ目が生じないように患者を支える必要があると強調した=図=。
その上で、患者やその家族の希望に寄り添いながら、患者の療養場所を適切な時期に適切に移行させることへの評価や、患者・家族と入院前から適切に関わることへの評価の在り方を議論するよう促した。
また、退院後の受け入れ先となるサービスの提供者との間で、病院などが効率的に情報共有するための方策も論点に挙げた。
■入院・外来の部門超えた連携を評価か
昨年春の診療報酬改定では、入院患者の早期退院を促すといった目的で、医療機関側の取り組みに対する評価が幾つか新設された。その一つが入院基本料等加算の「退院支援加算1」で、退院しづらい要因を持つ患者の抽出や、その家族らとの退院後を見据えた話し合いなどを、患者が入院してから一定の期間内に行うことに対してインセンティブが与えられた=表=。
また、患者が退院後に利用可能な介護サービスなどについて、ケアマネジャーを交えて話し合うと算定できる「介護支援連携指導料」の算定回数や、患者の退院先となる医療機関の職員らと定期的に顔を合わせ、情報を共有していることなども、この加算の要件になっている。
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