厚生労働省の「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」(以下、ビジョン検討会)は先月、報告書を取りまとめた。
英洙氏(はい・えいしゅ、ハイズ株式会社代表取締役)は、そこで構成員を務め、医師出身の経営コンサルタントの立場から、医療機関におけるマネジメント人材育成の重要性を訴えてきた。【大戸豊】
氏は、ビジョン検討会の報告書は5年後、10年後の時間軸で考えたと言い、長い目で見て医療はどう在るべきか、医療職が働く場である医療機関の在り方といった根本的なところまで立ち戻って議論したという。そして、医療機関の経営者がマネジメントをするという自覚と覚悟を持ってほしいというメッセージも込めた。
残業が多いから制限しようというのも大事だが、それだけではなく、院長や理事長に「人を大事にすることは投資である」と考えてほしかったといい、「ビジョン検討会なので、あえて青くさいことも入れたかった。迷ったときに立ち戻ってもらえるよう意識した」と話す。
■成果が見えなかった組織が急に成長していく
医療機関でマネジメントはなぜ必要なのか。
氏は、専門職が集まる組織では、自助努力とプロフェッショナリズムである程度までは行けるが、問題が複雑になったり、組織が大きくなったりすると、その2つでは機能しなくなるため、マネジメントという「潤滑油」が必要になると言う。
マネジメントを“因数分解”すると、「意思決定」と「コミュニケーション」に分けられるといい、事実をベースにしながら意思決定を行い、決まったことを組織、さらには地域に伝えられるコミュニケーション力が問われる。
コンサルティングを行う中で、特に見ているのは、その医療機関が持つプリミティブ(原始的、素朴)な組織力だ。トップの意思が組織全体に伝わっているか、その組織がもともと持っている特徴やなりたい姿をつかみながら、組織の体制づくりを支援しているという。
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