都道府県による地域医療構想の策定が進んでいる。2015年度中に策定を終えた12府県は、構想実現に向けてどのような施策を示しているのか、読み比べてみた。【大戸豊】
医政局長が評価した地域医療構想は?(2016/07/06)
リポート・地域医療構想【千葉県】(2016/2/29)
リポート・地域医療構想【栃木県】(2016/4/12)
今年3月までに策定を終えたのは、 青森 ・ 岩手 ・ 栃木 ・ 千葉 ・ 静岡 ・ 滋賀 ・ 大阪 ・ 奈良 ・ 岡山 ・ 広島 ・ 愛媛 ・ 佐賀 の12府県だ。
地域医療構想の実現に向け、限られた資源の中で、▽病床機能の分化と連携▽在宅医療等の充実▽医療・介護従事者の確保-の3つに取り組むことが基本といえる。
厚生労働省が15年3月に示した「地域医療構想策定ガイドライン」では、病床機能分化についての記述が多い一方で、地域包括ケアにはあまり触れられていなかった。
しかし、各府県の構想は、「効率的かつ質の高い医療提供体制の構築」と「地域包括ケアシステムの構築」は地域において医療および介護を総合的に確保していくための「車の両輪」として進めていく必要がある(静岡県)などと、地域包括ケアをかなり意識した記述が目立つ。
■調整会議の具体的な運営方法には踏み込まず
地域医療構想の策定後は、構想区域ごとに設置された「地域医療構想調整会議」(以下、調整会議)が中心となって議論を進めていく。
大阪府では、調整会議を活用し、構想区域をベースに議論を進めていくが、調整会議の下に、「病床の機能分化・連携に関する協議を行う懇話会」と「在宅医療の充実に向けての検討を行う懇話会」の2つの部会を設置する。
栃木県では、県レベルで「栃木県医療介護総合確保懇談会」(仮称)を開催し、地域医療介護総合確保基金の活用などについて意見交換を行う。各構想区域内では、「病院等情報交換会」(同)を通じ、構想区域内の病床機能に関する情報を共有する。
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