団塊の世代が75歳以上となる2025年に向かって、再構築が進む日本の医療提供体制。そのための青写真、地域医療構想(ビジョン)の策定作業が各都道府県で急がれている。
厚生労働省が行った今年1月時点の調査によると、47都道府県のうち今年3月末までに策定するのは15府県。ほか23都道県が、国から目安として示された「16年度半ば」を目指しており、残る9府県も16年度中には策定を終えるスケジュールを描く=表=。
構想では、現在の二次医療圏をベースに構想区域を設定した上で、それぞれの区域で25年に必要な病床数を医療機能(高度急性期、急性期、回復期、慢性期)ごとに推計したり、在宅医療の必要量を算出したりすることになっている。こうして描いた「将来の地域の医療体制」と、毎年10月の病床機能報告の結果を突き合わせることによって、医療機関の機能分化・連携強化を図ろうということだ。
厚労省は昨年3月、都道府県に向けて策定ガイドラインを取りまとめたが、現在、この改定が進められており、その中では「構想をいかに実現させるか=病床再編をいかに進めるか」により重点が置かれている。
しかし、いわば機械的に計算した必要病床数と、定量的な基準があいまいなまま医療機関が自主申告した機能報告の結果を基に、病床の過不足を議論することには当然、反発や不安も多い。「データはあくまで現時点の参考」と割り切って今後の議論を深めるか、構想策定までの合意形成を丁寧に進めるかなど、都道府県の考え方によって違いも大きいようだ。
地域医療構想の策定状況について、関東地方を中心に各地の進捗をリポートする(週1回配信予定)。
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■医療計画の見直しと同時進行の作業
15年度内に構想を策定する自治体の一つ、千葉県。東京都心に近く、県境を越えた患者の流出入も多い都市型の地域や、医療資源に乏しい太平洋沿いの地域を抱える。二次医療圏ごとの人口には最大13倍の開きがあるなど、しばしば「日本の縮図」とも称される県だ。
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