身体合併症がある精神疾患の患者は治療が難しく、一般病棟でも精神科病院でも対応ができない場合が多い。総合病院の精神科病棟ではそうした患者の治療を行っているが、病院経営の観点から採算が取れず、ここ20年で多くの病棟が閉鎖しており、身体合併症を診る医療機関が存在しない地域が拡大しつつある。「このままでは治療難民となる患者が増大する恐れがある」と危機感をあらわにする日本総合病院精神医学会副理事長で国立国際医療研究センター国府台病院の佐竹直子氏に話を聞いた。【渕本稔】
-総合病院の精神科病棟はどの程度減少しているのでしょうか。
佐竹氏 足利赤十字病院神経精神科部長の船山道隆氏がまとめた日本総合病院精神医学会の調査研究によると、2002年に273病棟あった精神科病棟は、22年には231病棟となり、20年間で約15%減少した。国公立の病院に絞れば、02年に84病棟あったのが、22年には51病棟と4割も減っている。
-減少している要因は。
佐竹氏 要因は大きく2つある。1つは
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