今回は、政府の経済・財政一体改革推進委員会の下部組織「社会保障ワーキング・グループ」が示した中間とりまとめから、具体的な「見える化」のテーマと今後の取り組みを見てみる。【大戸豊】
地域差分析などで、まずは問題の発見を-医療・介護で進む「見える化」(上)
文末には社会保障分野のKPI・「見える化」項目(医療・介護分野中心)を掲載した。テーマは、▽入院・外来医療▽医薬品の適正使用▽保険者機能の強化▽データヘルスの強化▽健康づくり・健診▽介護-など多岐にわたっている。今後、経済・財政一体改革推進委員会はこの項目に従って、定期的にKPI(重要業績評価指標)を測定、評価しながら、進ちょく管理を行う。
同ワーキング・グループ(WG)では、社会保障分野のKPI・「見える化」項目に追加する形で議論を進めている。ここでは、医療専門職の「気づき」を通じて質の改善につなげるデータの提供を検討したり、医療と介護双方のデータを連結した分析を推進するなど、データを切り口としたこれまでとは異なる取り組みが示されている。
■機能分化など反映させる医療費推計方法を夏ごろに示す
同WGが医療費の増加要因などを分析したところ、10年前と比べ受診延べ日数が減少した一方で、1日当たりの医療費は増えており、総医療費も増加していた。また、外来医療費は、検査、注射、処置による増加が大きかった。このほか、入院医療費については、循環器疾患、精神および行動の障害、神経系疾患が地域差を生じさせる要因として大きいという。
WGでは、今年3月に告示された医療費適正化基本方針に関連して、医療費の地域差縮減に向けた具体的な水準などを追加的に検討する。
また、地域医療構想に基づく病床機能分化や連携推進の成果などを反映させる入院医療費や外来医療費の具体的な推計方法や、医療費適正化に関する具体的な取り組み内容を検討し、今年夏ごろに告示の一部改正につなげる予定だ。
■医療専門職の「気づき」を促す仕組みを検討
WGが中間とりまとめで示した取り組み内容を医療分野から見てみる。
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