2016年度診療報酬改定で新設された「退院支援加算」が注目されている。この加算は、急性期病院が転院・退院の受け皿となる医療機関や介護サービス事業所などとの“顔の見える関係”を構築し、院内で早期退院に向けた体制を整備することを評価するものだ。平均在院日数は短くしたままで、地域に帰すプロセスを改善しようとする国の姿勢が表れているが、ケアマネジャーが病院スタッフと顔を合わせる機会も増えていくことも考えられる。【大戸豊】
厚生労働省の資料では退院支援加算をこう説明する。在院日数の短縮は近年の急性期医療の大きな流れであり、25年に向けてもこの流れは変わらないだろう。しかし、「安心・納得の退院」には、患者側からの「追い出されるように退院している」ことへの不満に対応する意図も見えてくる。
上位加算の「退院支援加算1」では、退院困難な患者を入院後3日以内に抽出し、患者・家族との面談、多職種によるカンファレンスをそれぞれ7日以内に実施する必要がある。この要件は、患者の生活背景や課題を早期に把握できていないことが、退院時期を遅らせていることの裏返しともいえる。
地域に帰すため、病院が患者の「生活」に関する情報収集に力を入れる中、生活の専門家であるケアマネジャーの役割も増えていく可能性がある。
厚生労働省「平成28年度診療報酬改定の概要」より
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