【千葉大学医学部附属病院病院長企画室長・病院長補佐・特任教授 井上貴裕】
2016年度の機能評価係数Ⅱが公表された。CBnewsでは、工藤高氏と渡辺優氏が、カバー率係数などが高い病院において、機能評価係数Ⅱで高い評価を受けたという分析を示している(記事)。このような議論を踏まえ、公表された機能評価係数Ⅱの数値を用いて、医療機関群ごとに機能評価係数Ⅱに差を付けた要因を整理し、今後の機能評価係数Ⅱのあり方について言及する。
カバー率係数は、病床数と強い相関があり、大病院に有利な係数といえる。総合的な診療体制に加え、年間12症例以上の診断群分類が評価対象となっており、大病院ほど12症例を超える割合が多くなる。
=表1=は、機能評価係数Ⅱの各項目と8項目合計の相関係数である。0.4以上の係数※に着目するのがよいと考え、色を付けた。15年度と16年度では、重症度係数が新設されたことを除いて、傾向が大きく変わってはいないようだ。
機能評価係数Ⅱは、今回改定で標準化などの処理が施されたが、重み付けは行われていない。このため、差が付きやすい項目ほど、相関係数が高くなる。例えば、Ⅰ群では複雑性係数と後発医薬品係数の相関係数が強いが、これらの項目で医療機関ごとの差が付きやすかったことを意味する。複雑性係数がゼロで短期症例等が多いⅠ群病院と、そうではないⅠ群病院があり、後発医薬品も利害関係があるためなのか、推進しにくい病院もあったのだろう。
※相関係数では一般的に0.4以上が正の相関ありとされている
表1 機能評価係数Ⅱ各係数と機能評価係数Ⅱ合計の相関係数
次回配信は6月20日5:00を予定しています
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