【株式会社MMオフィス代表取締役 工藤高、株式会社メディチュア代表取締役 渡辺優】
■機能評価係数が上がった病院は「暫定調整係数が高い」と「病床数が多い」
前回、2015年度と16年度の暫定調整係数と機能評価係数Ⅱの比較を通じて、診療報酬改定の影響により、暫定調整係数の高い病院と病床数の多い病院ほど、機能評価係数Ⅱがアップしたことを示した=グラフ1=。
厚生労働省資料を基に計算(DPC新規参入・退出病院ならびにDPC算定病床数の不明な病院、DPC病院群を移動した病院はすべて除く)
■暫定調整係数の高い病院ほど危機感が強いのでは?
少しうがった見方をすれば、暫定調整係数の高い病院は、今後の病院経営に強い危機感を抱いていて、係数向上の努力をしていることをこの結果が示しているのかもしれない。そこで、グラフ1の15年度と16年度の比較と同様のルールで、14年度と15年度の比較を加えてみた=グラフ2=。
グラフ2 暫定調整係数によるグループ分けに応じた機能評価係数Ⅱの3年間の推移
厚生労働省資料を基に計算(DPC新規参入・退出病院ならびにDPC算定病床数の不明な病院、DPC病院群を移動した病院はすべて除く)
14年度と15年度の間には診療報酬改定を挟んでいない。そのため、各病院の努力だけが反映された結果となっているはずだ。グラフ2では、14年度と15年度の機能評価係数Ⅱの平均値はどのグループでもほぼ同じ値になっている。この結果から、「暫定調整係数の高い病院が非常に強い危機感を持ち、係数向上に努めたのでは」という仮説はもろくも崩れ去った。暫定調整係数のマイナスの病院に限って言えば、15年度と16年度の間は1.5倍になるはずであったのに、機能評価係数Ⅱはほとんど増えておらず、不公平感が非常に強いことだろう。
次回配信は5月11日5:00を予定しています
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