【日本医業経営コンサルタント協会福井県支部 支部長 杉原博司】
地域包括ケア病棟入院料は、7対1病床の削減と急性期後・回復期機能の拡大を図る目玉として、2014年度診療報酬改定において創設されました。それまでの亜急性期入院医療管理料は約2万円の包括入院料で、届け出可能な病床数に制限もありましたが、地域包括ケア病棟は病棟単位で届け出ができ、包括入院料は約3万円と、地方病院にとってはとても魅力的な設定です。
■手術料が出来高算定へ、いよいよ届け出が増えるのか
こうした中、16年度改定 では、地域包括ケア病棟の手術料などを出来高算定とする議論が進んでいます。1月27日に厚生労働省が示した改定案の「個別改定項目」では、「(地域包括ケア病棟の)包括範囲から、手術、麻酔にかかる費用を除外する」とされています = 「【中医協】ケア病棟の手術・麻酔は出来高に」 = 。
一方、手術・麻酔の出来高算定とセットで協議されていた包括入院料の引き下げについては明記されず、現行のまま据え置きとなっています。
中央社会保険医療協議会(中医協)の議論では、支払側が入院料の引き下げを主張して反発していますが、仮にこのまま厚労省案が了承されれば、急性期病床の絞り込みが進む中、いよいよ経済的観点から地域包括ケア病棟を導入せざるを得ない病院が増えると予想されます。
その目安として、次のような急性期病院は、導入による効果が大きいと考えられるでしょう。
① 外科系学会社会保険委員会連合(外保連)による技術難易度D、Eの手術割合が低い
② カバーしているDPCコードの入院期間ⅠのDPC/PDPSが 3万円未満の割合が8割を上回っている
③ 医療機関別係数が 「1.2」 を下回っている
④ 患者1人当たりのリハビリ実施数が3単位以下
該当する病院は、DPC病棟と地域包括ケア病棟の総収入を早期に比較・検証する必要性があります。また、今後も地域包括ケア病棟を導入しないのであれば、「重症度、医療・看護必要度」(以下、看護必要度)の新基準を満たすための準備が必要です。
そこで連載では、16年度改定の最新動向も踏まえながら、7対1および10対1を届け出ている病院における地域包括ケア病棟の導入から運用、今後の課題を改めて考えてみたいと思います。
次回配信は2月16日5:00を予定しています
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