【株式会社MMオフィス代表取締役 工藤高】
先日の記事「 【中医協】看護必要度の見直し提案-厚労省、委員は患者割合の引き上げ懸念 」に詳しく書かれているが、診療報酬改定の中央社会保険医療協議会(中医協)における7対1厳格化の議論は、厚生労働省が示した案に対し、診療側・支払側双方が影響度合いの不明さに対し懸念を示しているようで、現時点では落としどころは見えていない。
本来、2年に1度行われる診療報酬改定の機能は医療機関の「経済的評価」と「技術的評価」であった。前者は物価や人件費増への対応。後者は日進月歩の手術や検査、医療機器の評価を行うものだが、最近の改定は「成果主義」「政策誘導」的な要素が非常に強くなり、今回の7対1要件強化議論も前回改定同様の財務省マターの「ふるい落とし」政策である。
これまで繰り返し述べている通り、平均在院日数や在宅復帰率、「重症度、医療・看護必要度」(以下、看護必要度)は、ケースミックス(患者構成)に大きく依存している。それを無視して7対1要件として一律の基準で評価すれば、現場に無理が生じることとなる。小児科や耳鼻科、眼科の入院が多ければ平均在院日数は短いし、自宅への復帰率は高い。そして、看護必要度は低い。一方、脳外科病院はまったくその逆となる。
単に7対1の基準を財源ありきで変更すれば、病院側もその基準を必死でクリアしようとしてくる。まるでモグラたたきゲームのハンマーが厚労省であり、動きが機敏になるモグラが病院の図式だ。そのような無駄なことの繰り返しでは、誰も得をしない。
今回は現在、中医協で議論されている看護必要度の変更内容を、ケースミックスを総合的に診ているA病院(急性期、500床以上)に当てはめて、その影響度の度合いと想定できる問題点を考えてみたい。
次回配信は11月11日5:00の予定です
(残り2429字 / 全3225字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】