【東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 環境社会医歯学講座 政策科学分野教授 河原和夫】
地域医療構想は、病床機能や病床数などの医療需要を測定した上で進められるが、いまだ十分な議論が行われていないのが財源と人材供給についてである。当然ではあるが、医療需要に基づく地域医療構想は、財源や人材供給との整合性が必要となる。
2.医療・介護政策の論点と課題
(1)医療・介護費を財源
厚生労働省の調べでは、2012年度の国民医療費は40兆円近くに達している。介護費においても9兆円近くとなっている。国は税や国債といった公費を投入し、医療・介護制度の維持に腐心している。実際に医療費の約38%、介護費の60%近くはこうした公費により賄われている。「日本の医療・介護保険制度は、公的保険方式で運営されている」といった教科書的な解答はもはや怪しくなり、保険と税(国債も含む)により運営される混合制度となっている。
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