【株式会社MMオフィス代表取締役 工藤高】
「地域医療構想策定ガイドライン」(以下、ガイドライン)では、「2013年度のNDBのレセプトデータによる療養病床の入院患者数のうち、医療区分1の患者の70%を在宅医療等で対応する患者数として見込む」とされている。
ガイドラインでは、高度急性期、急性期、回復期は入院基本料相当部分と一部のリハビリ点数を差し引いた1日当たりの医療資源投入量が示されており、この点数区分で構想地域の25年の医療需要と病床の必要量を推計する予定だ。一方、慢性期の医療需要は最初から医療区分1の療養病床入院患者を機械的に7割減らすことが前提になっていた。そのために「療養病床は3割しか残らない」とパニックになっていた一部の療養病床関係者もいた。
これは逆であり、二次医療圏内でしっかりと高度急性期、急性期の病床が高速回転するためには、医療区分2、3の重度な患者が入院する療養病床はますます重要になってくる。療養病床の医療区分3に該当する人工呼吸器装着や中心静脈栄養などは、急性期病院のICUやHCUにおける医療処置と変わらない。共に高齢者患者が多いのだが、一つ大きく違うことは「発症年月日」になる。人工呼吸器装着も、急性期病院は発症間もない患者、療養型では装着期間が長く慢性期に入った患者になる。人工呼吸器装着患者にはやはり、質の高い療養病床が必要不可欠となっている。ただし、医療区分1で在宅医療や介護施設入所者と状態がさほど変わらず、これらとの「代替性」がある療養病床入院患者は、前述のように7割減という方向性がガイドラインで打ち出されている。
次回配信は9月2日5:00を予定しています
(残り2399字 / 全3133字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】