【株式会社MMオフィス代表取締役 工藤高】
■消費税増税の影響で患者が減ったのか
今年4月の診療報酬改定以降、さまざまな病院から「外来患者と入院患者が共に減っている」「病床利用率が下がっている」という話を聞いていた。当連載の39回「大学病院本院に患者が奪われているのか」では、市中病院で患者数が減っている一方、大学病院が患者数を増やしていることを書いた。このような話を全国で聞いていたら、ある方から「消費税増税の影響が大きいのでは」という鋭い意見を伺った。そこはノーマークであった。
いつもの厚生労働省データではなく、今回は=グラフ1=の内閣府のデータから話を進めてみたい。景気は消費税増税のあった4月に急激に悪化した後、7月まで徐々に回復していたものの、8月以降悪化している。以前から医療業界は景気の影響を受けにくいと言われてきたが、今回は影響が少なからずあったのかもしれない。もちろん、消費税増税により、医薬品費や委託費に関して直接的な消費税負担が増え、スケールメリットがある病院ほど、経営を直撃していることはかねてから述べている通りだ。年間売り上げが100億円ある大規模病院の医薬品・材料費比率が20%、20億円だとすると、消費税3%増で6000万円の負担増になる。これに加え、医療事務や給食などの委託費の増税分も重くのし掛かった。
グラフ1 景気ウォッチャー調査
内閣府 2014年10月調査(11月公表)資料を基に作成
次回配信は12月17日5:00を予定しています
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