![国がん、2期目で構想実現が加速](/newspicture/cbnews_body/1409639526.jpg)
キャリアブレインの取材に応じる堀田理事長
「理事長になり2年半が経ちようやく、就任時の所信で表明した『社会との接点を求めるべき』との思いが実現し始めている」-。
国立がん研究センター(国がん)の堀田知光理事長は、自身の構想が形になっていることに手応えを感じている。民間企業などとの包括的研究提携、がんサバイバーシップ支援研究部やアピアランス支援センターを立ち上げるなど、がん研究・医療の枠にとどまらず、社会や患者との接点を拡大させている。昨年は職員による過去の研究費の私的流用が発覚し、その対応に追われたが、NC(国立高度専門医療研究センター)の役割を再認識し、新人事制度を導入するなど改革を加速させている。【君塚靖】
民間企業には、解析のノウハウはあっても、医療情報が付加された生体材料がなかったりします。以前は、国がんの研究者と民間企業の研究者の1対1の共同研究関係でしたが、もう少し接点を広げて、組織と組織の関係にすれば、例えば1つのアイデアに枝葉のアイデアが生まれた場合、いちいち契約を結び直したりする必要がなくなり、また知的財産管理が個人レベルでなく、組織で対応できてスムーズだったりします。
昨年12月の閣議決定で、国がんは研究開発型独立行政法人として、研究開発成果の最大化を目的とし、「大学または民間企業が取り組みがたい課題に取り組む」法人として位置付けられました。今回はNEDOの支援により、産官学という3者の関係になりましたが、これまで進めてきた民間企業などとの包括提携は、これからも積極的に進めていくつもりです。 さらに、NCとしての組織のガバナンスを高めるために、人事制度を見直し、「診療科長の公募制度」を導入しました。この制度には、2つのポイントがあります。まず、科長の任期を従来の1年から3年に延長しました。中・長期的な視点でその診療科の運営を考えてほしいからです。そして公募としたのは、外部からの優秀な人材を受け入れやすくするためです。内部での人材育成も同時に進めていきますが、民間医療機関での管理職経験から学べることは少なくありません。
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