【中外合同法律事務所 弁護士・薬剤師 赤羽根秀宜】
M&Aとは、Mergers and Acquisitionの略で、合併と買収のことを言います。少し前、敵対的買収が話題になったこともあり、M&Aにあまり良いイメージを持っていない方もいるかもしれません。しかし、このような敵対的買収は主流のものではありません。ほとんどのM&Aは合意の下で行われており、事業を承継・継続していくためには有効な方法です。また、薬局の多くは、株式譲渡制限が付されている非上場企業がほとんどですので、そもそも敵対的買収というのはほぼ不可能であり、経営者が反感を覚えるような買収は、まずないと言っていいでしょう。
さて、薬剤師不足や後継者不足などを背景に近年、薬局におけるM&Aは多く行われています。
M&Aによる事業承継のメリットは、単に廃業清算手続を行うよりも、創業者が多くの利益を獲得できる点にあります。薬局の「のれん」などが対象となるわけですから、評価は高額となります。
また、薬局は、地域医療に貢献している施設です。簡単に廃業してしまうことには問題がありますので、事業が継続できること自体も大きなメリットです。これに伴い、従業員の雇用の継続が確保できることもメリットでしょう。
■M&Aの具体的な手法
M&Aの具体的な手法としては、株式譲渡、事業譲渡、会社分割などがあります。このうち、薬局で多く用いられるのは株式譲渡と事業譲渡です。
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