【三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社主任研究員 岩名礼介】
前回は、地域包括ケアシステムが、地域内でバラバラになっている資源を統合する機能を持つ仕組みであると説明した。しかし、もともとバラバラなものを一つにするには、関係者の「考え方」や「認識」を統一することが不可欠だ。特に、医療・介護の分野では、サービス提供事業者のほとんどが民間事業者のため、地域で一つの考え方を共有するということは、実際には相当な困難を伴い、時間を要する。
地域包括ケアシステムでは、「組織の統合」「仕組みの統合」「様式の統合」など、「バラバラ」を統合するのにも、いくつかのレベルがあるが、考え方の共有(学術的には「規範的統合」と呼ばれる)は、統合の中でも最も難しいといわれる。しかし、考え方の共有(規範的統合)は、他のものを統合する上でも基礎となるものであり、優先順位は高い。
今回は、考え方の統合である「規範的統合」について考えてみたい。
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