【株式会社MMオフィス代表取締役 工藤高】
■1入院当たり包括化拡大の影響大
今月12日、中央社会保険医療協議会(中医協)が厚生労働相に2014年度診療報酬改定案を答申して、個々の点数が示された。診療報酬改定に向けた議論も「うちはこれを算定できるのか」「これとこれは一緒に算定できるのか」といった具体的な問い合わせが急に増えてきた。厚労省の出先機関ではないので「絶対に大丈夫」といったことは間違っても言えない。ブログでも書いたが、「在宅復帰率」の計算式で、脳外専門病院において自院の7対1病棟から院内の回復期リハへの転棟が「在宅復帰」としてカウントされないなら、一気にアウトになる。その後、ケアミックス病院において院内の回リハや療養型への転棟は「在宅復帰率計算式の分母・分子どちらからも除外」という話を聞いたが、3月の告示やQ&A等での正式な発表を待つ以外に術はない。
答申において、1入院包括化となる一部の手術・検査の短期滞在手術等基本料3の点数も明らかとなった。この1入院包括化は14年度改定における大きな転換点の1つに挙げられるだろう。
DPC制度下では前回改定で「点数設定方式D」という入院中の医療資源投入金額(主に薬剤費)をカバーできるように入院初日の点数を大幅に高くすることで、収入確保のための入院引き延ばしや早期退院による病院の費用持ち出しの矛盾解消につなげた点数方式も設定された。Dは14年度改定で心臓カテーテル検査入院にも拡大されるが、これはあくまでDPC算定対象病院のみの話であった。
一方、今回1入院当たり包括化は看護配置に関係なく、すべての出来高病院・病棟が対象である。1入院包括化は、医業収入の減少リスクに加え、平均在院日数の計算式からの除外により、7対1の算定基準を満たさなくなるリスクも懸念していた。結果として、全国の病院が今年4月以降に在院日数を短くするが、それによって次回16年度改定で短期滞在手術等基本料3自体の点数が下がってしまう、経済学でいう「囚人のジレンマ」状態になってしまう。「神の見えざる手」ならぬ「厚労省の見えている手」だ。そこで、答申で発表された点数を基に、病院に与える影響を具体的に考えてみたい。
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