中央社会保険医療協議会(中医協)の総会が7月13日に開かれ、「医療機関のコスト調査分科会」の田中滋分科会長(慶大大学院教授)が、今年度の「医療機関の部門別収支に関する調査」の実施案を提出し、了承された。調査は9‐10月に実施される見込み。
実施案によると、職種別給与データの職種区分を簡素化し、技能労務員と事務職員を合わせて「事務」、薬剤師と医療技術員を合わせて「コメディカル・薬剤」として回答してもよいことにする。
医師の勤務時間については、昨年度調査に回答した医療機関から「医師が多忙で記入してもらうこと自体が難しい」との意見が多く寄せられたため、医局長など代表者が全体の状況を記入することを認める。
また、保険外収益の算出方法を見直し、産婦人科の正常分娩費など、どの科の収益か明らかなものは先に配分する。昨年度調査で保険外収益の総額を記入させ、保険収益比に応じて振り分けたところ、主な収入源である正常分娩費が保険外収益で、保険収益が少ない産婦人科の収益が少なくなったことを受けた措置。
■昨年度調査に回答数不十分との指摘も
田中分科会長はまた、昨年度調査の報告書案を提出し、了承された。委員からは、回答数が不十分だとの意見が出た。
昨年度調査には、DPC対象病院164施設、DPC準備病院14施設、これら以外の病院9施設の計187施設が回答した。このうち、08年度にも回答したのは45施設。
これに対し、安達秀樹委員(京都府医師会副会長)は、「この回答数では、診療報酬体系を設定する時の材料とするには不十分」と指摘。DPC対象・準備病院に比べ収益性が悪いこれら以外の病院からの回答が少ないことも問題視し、「(調査結果は)全体の傾向を表しているものではない」と述べた。
このほか、邉見公雄委員(全国自治体病院協議会会長)は、皮膚科が入院・外来共に大幅な赤字だったことについて、「病院にとって、皮膚科は採算を度外視しなければならない部門」と説明。田中分科会長は、「大学や会社の経営でも、ほかの部門を健全に支えているが、そこは赤字という部門があるのは普通」と応じた。
■改定結果検証の調査票案を了承
総会では、昨年度診療報酬改定の結果について検証する特別調査(今年度調査)のうち、▽病院勤務医の負担軽減の状況調査▽精神入院医療における重症度評価導入後の影響調査▽在宅歯科医療および障害者歯科医療の実施状況調査▽在宅医療の実施状況および医療と介護の連携状況調査―の調査票案が厚生労働省から提出され、いずれも了承した。
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