中央社会保険医療協議会(中医協)薬価専門部会が6月22日に開かれ、禰宜寛治専門委員(武田薬品工業コーポレートオフィサー業務統括部長)、長野明専門委員(第一三共専務執行役員)が、保険医療上の必要性が高いものの、採算性が乏しく、安定供給の確保に不安が残る医薬品について、「一定の条件」を満たす場合には薬価改定時にも改定前薬価を据え置くことを提案した。
両専門委員は具体的な要件として、▽過去に「不採算品再算定」の対象となったもの、または保険医療上の必要性が高いもので、薬価が著しく低下し、販売継続が困難となる怖れがあるもの▽当該製品の「乖離率」が全収載品目の平均乖離率を超えないもの―の双方を満たすことを挙げた。
これまでに「不採算品再算定」の対象となった品目としては、▽血液製剤や麻薬、生薬、生理食塩液など、実質的に代替品のないもの▽解毒剤、抗結核薬など災害時や国防上必要なもの▽ペニシリン、アスピリンなどの基礎的な医薬品―などがある。
意見交換で安達秀樹委員(京都府医師会副会長)は、「不採算になったことを確認してから(薬価を)個別に引き上げている現行の『不採算品再算定』では不十分なのか」と疑問を呈した。また、白川修二委員(健康保険組合連合会専務理事)は「製薬企業側の価格政策がどうなっているのかということが全部影響していると思う。そこらへんまでを含めたデータを示していただかないと議論が進まない。薬価制度上の問題なのか、ビジネスの問題なのかを整理して、提案してほしい」と述べた。
一方、松谷高顕専門委員(東邦ホールディングス代表取締役会長)は「基礎的医薬品を造っているのは、どちらかというと大手のメーカーではなく、中堅・小メーカーで、それに特化しているところ。そういう企業の置かれている立場に配慮して議論していただきたい」と強調した。
次回以降、新ルール導入の是非や、導入の場合に対象となる品目の市場規模、販売期間といった「一定の条件」について、議論を継続する。
このほか、同部会では今年度の薬価調査の実施を了承。厚生労働省の福本浩樹経済課長は、同調査の位置付けについて、「改定の実施に直結するものではない」とした。薬価調査の実施は部会後に開かれた総会でも了承され、今後、実施に向けた手続きが進められる。
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