厚生労働省の医療経済実態調査(医療実調)の調査票が、東日本大震災の影響に配慮して送付を見合わせる地域の医療機関などに誤って送付されたことについて、中央社会保険医療協議会(中医協、会長=森田朗・東大大学院法学政治学研究科教授)は6月22日の総会で、同省側からこれまでの経緯や今後の対応について報告を受けた。委員からは、調査の実施主体である同省の管理・監督責任を追及する声や、過去の調査データにさかのぼって信頼性を検証すべきなどの厳しい意見が相次いだ。
厚労省側の説明によると、7日以降に順次発送された調査票のうち、本来発送を行わないとしていた地域の18医療機関と、事前に個別連絡を行い、調査協力の了承を得た上で発送するとしていた地域の895医療機関に対し、誤って送付されていた。
さらに、事前の個別連絡を行う地域を選出する際にも、郵便番号を基にしたデータ抽出の作業に誤りがあり、抽出から漏れた医療機関があったという。
医療実調をめぐっては、震災の影響を考慮し、その実施の是非や調査手法について中医協総会で相当な議論を重ね、3日の臨時総会でようやく合意にこぎつけた経緯がある。
それだけに委員の受け止め方は厳しく、「あきれて物が言えない」「業務を委託した厚労省に監督責任がある」(西澤寛俊・全日本病院協会会長)、「(委託先の)みずほ情報総研にはしかるべきペナルティーが必要」(鈴木邦彦・日本医師会常任理事)などの意見が相次いだ。
また、今回の調査データのみならず、過去のデータの信頼性についても不安視する声が上がり、今後何らかの方法で信頼性の検証を行うことで意見がまとまった。具体的な検証方法や、検証を行うメンバーの選定については、森田会長に一任された。ただ、既に進んでいる今回の調査を中断したり、委託先をほかの業者に変更したりするなどの措置は取らず、従来通りのスケジュールで10月の調査結果の取りまとめを目指す。
■特別調査の調査票案を了承
また総会では、2010年度診療報酬改定の結果について検証する特別調査(11年度調査)のうち、「後発医薬品の使用状況調査」と「回復期リハビリテーションにおける質の評価、がん患者リハビリテーションの創設など、リハビリテーション見直しの影響調査」の調査票(案)が報告され、いずれも了承された。ただ委員側から厚労省側に対し、医療実調の議論を踏まえ、特別調査の事務処理を受託する業者がどのような過程で選定されたのかを、次回総会に文書で報告するよう意見が付いた。
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