厚生労働省は6月17日、同省の「看護師等の『雇用の質』の向上に関する省内プロジェクトチーム」(PT)がまとめた報告書を公表した。報告書では、都道府県労働局に配置されている労働時間設定改善コンサルタントが医療機関を訪問し、現状に応じた対応策を助言することなどが盛り込まれている。同省は同日付で、報告書に盛り込まれた勤務環境の改善に向けた取り組みへの協力を求める通知を各都道府県や関係団体に出した。
省内PTは昨年11月に発足。厚生部局と労働部局の関係局長・課長をメンバーとし、看護職の勤務環境や雇用管理の改善について検討を進めてきた。
報告書によると、改善に向けた取り組みとして、労働時間の改善などの「職場づくり」、体系的な教育体制の整備などの「人づくり」、医療行政と労働行政、関係者の協働を地域レベルまで深める「ネットワークづくり」を推進する。
今年度の「職場づくり」のための取り組みでは、看護部長ら労務管理を担う責任者を「労働時間管理者」として明確化し、各医療機関で改善策の検討・推進を図る。行政では、労働時間設定改善コンサルタントによる支援や労働基準法令の順守などに関する研修会を実施する。
コンサルタントによる支援は、今年度は先行的に東京、大阪、愛知の各労働局で実施。コンサルタントが医療機関を訪問して労働時間の設定改善に向けた課題などについてヒアリングし、実態を踏まえた助言などを行う。
一方、研修会は今年度後半に各都道府県で実施。労務管理を担う責任者を対象とし、より負担の少ない交代制勤務の好事例などを紹介する。
「人づくり」については、職場定着のための新人看護職員研修ガイドラインに基づいた研修の実施や専門性の高い看護師の積極的な配置・活用、求職者への効果的な情報提供などの必要性を指摘。「ネットワークづくり」では、都道府県や医療団体などが参加する企画委員会を開催し、地域の医療従事者の勤務環境の改善に取り組む恒常的な連絡協議の場として活用する。
来年度以降も、有効な取り組みは強化・継続される見通し。
また、医療従事者全体の勤務環境を改善するため、今後は医師ら他職種への活用も図る。診療報酬に関しては、中央社会保険医療協議会で負担軽減策について昨年度の診療報酬改定の結果を検証しながら、次期改定に向けて検討するとしている。
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