中央社会保険医療協議会(中医協、会長=森田朗・東大大学院法学政治学研究科教授)は6月3日、臨時の総会を開き、前回総会から持ち越しとなっていた医療経済実態調査(医療実調)の実施について協議した。日本医師会の立場から医療実調の中止を求めていた鈴木邦彦委員(日医常任理事)は、文書を提出して調査の問題点を改めて指摘しつつ、「報酬改定に直結しないということは理解した」として、調査の実施を実質的に容認した。これを受けて中医協は、医療実調を当初のスケジュール通り実施することで合意した。
はじめに厚労省側が医療実調の位置付けについて説明。調査は診療報酬改定の基礎資料とするために行われるものだが、診療報酬改定を決定付けるものではないと強調した。また、東日本大震災の発生を受けて調査の実施にもさまざまな配慮をするとし、▽損害保険全損区域や原子力災害による避難区域などは調査票を配布しない▽震災の影響を把握するための自由記載欄を設ける▽震災の影響に配慮した適切な集計・分析―などを挙げた。
これに対し鈴木委員は、調査期間となる3月11日-31日のデータが正確に捕捉できないことや、予定された形での調査では震災によって激変した医療実態が把握できないなどの問題点を指摘。その一方で、厚労省側が調査の実施が診療報酬改定に直結しないと明言したことを受け、実質的に調査を容認する形になった。
ただ、実施するに当たっては、今回の調査が次回改定に活用できるか否かを調査・分析すべきと念を押した上で、原中勝征会長名で中医協委員の被災地の視察を要請した。
■坂本すが委員が退任
坂本すが委員(日本看護協会副会長)が、この日付で退任した。坂本氏は2008年6月から中医協専門委員を務め、2期目の任期途中だった。坂本氏の後任は未定。
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