中央社会保険医療協議会「診療報酬調査専門組織・医療機関のコスト調査分科会」の田中滋分科会長(慶大大学院経営管理研究科教授)は5月18日、基本診療料のコスト調査に関する同分科会の報告書を提出した。基本診療料のうち入院基本料が想定するサービスの内容が不明確なため、この中に含まれるコストを適切かつ有効に調査するのは、現時点では「きわめて難しい」と結論付ける内容。ただ総会では、入院基本料の設定根拠を明確化するには、コスト調査の実施が不可欠だとの意見が診療側からあり、今後の審議の進め方を引き続き話し合う。
コスト調査を分析するには具体的にどのような形で審議を進めるかは、この日の意見を整理して厚生労働省側が幾つかの形を提案する。
入院基本料のコスト調査・分析は、診療側が実施を強く要請していた。しかし、報告書では入院基本料について、医療上の必要性や保険財政、医療機関の経営状況などを踏まえて分割・統合されてきたため、どのようなサービスを想定しているのかを具体的に定義するのは困難だと指摘。また、仮にサービス内容を定義付けられたとしても、減価償却費や清掃費などのコストを入院基本料以外の収入にどう対応させるかなどの課題が残り、計算方法を確立するには5年程度が必要だとの認識を示した。
この日の総会で、コスト調査を実施できるかどうかの検討に当たった分科会の石井孝宜委員(公認会計士)は、「残念ながら、現時点で納得性の高い計算結果を得ることはできないという結論を全員で出した」などと述べた。
これに対し、診療側の西澤寛俊委員(全日本病院協会会長)は、「入院基本料の中に何が入っているのかを明確にすることは、中医協委員に与えられた役割だ」と述べ、検討の継続を求めた。支払側の白川修二委員(健康保険組合連合会専務理事)は、「今の診療報酬体系の中で、個々の項目についてそれぞれコストがいくらなのかを議論すること自体、ほとんど不可能だ」と主張した。
(残り0字 / 全1069字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】