中央社会保険医療協議会(中医協、会長=森田朗・東大大学院法学政治学研究科教授)は5月18日の総会で、来年度の診療報酬改定に向けて精神科医療について議論した。その結果、昨年度の前回改定で精神入院医療に重症度評価を導入した影響などを調査することで合意した。
課題に挙げられたのは、▽精神入院医療▽身体合併症がある精神疾患患者の救急医療▽認知症対策▽地域生活への移行―の4項目。
精神入院医療では、前回改定の結果について検証する特別調査の一つとして、入院患者の重症度に応じた加算を導入した影響を調べる。精神療養病棟入院料の「重症者加算」は、精神疾患の重症度を示すGAFスコアが40以下の場合に算定できる。
身体合併症がある精神疾患患者の救急医療では、こうした患者を受け入れていた総合病院が施設数、病床数共に減少傾向にあることを踏まえ、診療体制や受け入れ先の確保が課題に挙げられた。このため、身体・精神共に救急対応が必要な患者の受け入れ状況などを把握する。
認知症対策では、専門医療機関による療養方針の決定などを評価する「認知症専門診断管理料」の新設や、「認知症病棟入院料」の見直しが、必要な医療の提供につながっているかどうかを調べる。
地域移行については、精神障害者の地域への復帰を支援するためのプログラムを複数行っている医療機関の体制や、実施状況などを調査する。また、精神疾患患者への訪問看護について、患者の状態や訪問看護の内容を調査する。
これに対し、鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)は、「GAFスコア(を40で区切ること)が妥当かどうか検証していただきたい」と要望。また、坂本すが委員(日本看護協会副会長)は、身体合併症のある精神疾患患者が一般病床に入院するケースもあると指摘し、精神病床だけでなく一般病床についても調査対象にするよう求めた。
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