中央社会保険医療協議会(中医協)の「診療報酬調査専門組織・医療機関のコスト調査分科会」(分科会長=田中滋・慶大大学院経営管理研究科教授)は4月7日、基本診療料のうち入院基本料に含まれるコストの調査・分析を有効な形で実施するのは、現時点では困難だとする報告書を大筋で取りまとめた。
【関連記事】
入院基本料のコスト分析、実施できる?―専門家らのWGで検討へ
【中医協】退職引当金も調査に追加、医療実調で実施案
【中医協】加算含め診療報酬体系の簡素化を検討へ
【中医協】次期改定に向けた優先議題は3項目―診療・支払側が合意
基本診療料めぐる議論、「費用とは何か」が論点-講演で迫井企画官
近く正式な報告書をまとめ、田中分科会長が5月中にも中医協総会に報告する。
入院基本料や初・再診料などの基本診療料をめぐっては、中医協で診療側が、これらの点数に含まれるコストの積算根拠を明確にして診療報酬に反映させるべきだと主張。これを受けて中医協は分科会に対し、基本診療料に含まれる人件費や材料費、減価償却費などを調査できるかどうか意見を求めていた。
分科会では、公認会計士らのワーキンググループ(WG)を設置して議論したが、入院基本料が想定するサービスの内容が不明確で、医療現場でそれぞれのサービスを提供するのにどれだけの原価が掛かっているのかを特定できないなどの理由から、有効なコスト調査をすぐに実施するのは困難と結論付けた。
意見交換では、コスト調査は2012年度に予定されている次の診療報酬改定での活用が前提かとの質問があり、厚生労働省の屋敷次郎・保険医療企画調査室長は、「次の改定に(コスト調査の)結果を必ず反映させるべきといった点までは、中医協全体のコンセンサスにはなっていない」との認識を示した。
(残り0字 / 全876字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】