日本医師会(日医)は12月8日、病院と診療所の医師を対象に行った、患者への薬の処方期間に関する初の実態調査の結果を公表した。それによると、診療している患者で最も多い処方期間が5週間以上と回答した医師の全体に占める割合は約3割で、生活習慣病や甲状腺機能低下症などの慢性疾患の患者では、8週間以上との回答が約半数に上り、処方期間が長期化している現状が浮き彫りとなった。
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調査は今年9月30日-11月5日、病院で働く勤務医2820人と診療所の医師1395人の計4215人(処方を行っているのは3904人)を対象に実施。処方日数のほか、比較的長期の処方の対象疾患や処方理由などを聞いた。
対象となった医療機関は、北海道、茨城、群馬、千葉、広島、福岡の6道県の99病院(大学病院5施設を含む)と日医会員から無作為抽出した診療所1389施設。有効回答率は勤務医が35.3%、診療所の医師43.6%だった。
診療している患者で最も多い処方期間を聞いたところ、4週間が39.0%とトップで、以下は2-3週間(16.0%)、12週間以上(11.9%)などの順。5週間以上が全体の27.3%を占めた。これを慢性疾患患者に限定すると、5週間以上が52.9%で、このうち高脂血症(HMG-CoA還元酵素阻害剤)と高血圧(ジヒドロピリジン系Ca拮抗剤)では8週間以上とする回答が約8割に上った。
5週間以上の処方を行っている理由については(複数回答)、勤務医で「病状が安定」とする回答が8割近くを占めたのに対し、診療所では「患者さんからの要望」が56.9%で最も多かった。5週間以上の処方が原因と考えられる問題事例(過去1年間)では、約2割の医師が、患者の容体の変化に気付くのが遅れたことが「ある」と回答し、急性増悪して重篤化したとの報告もあったという。また、高齢者では長期処方中に容体が変化した場合でも、遠慮して次回の診療時まで我慢しているケースもあった。 12月8日に記者会見した日医の高杉敬久常任理事は、「医師の責務として、適切な処方期間の確保に自ら努めるとともに、中医協(中央社会保険医療協議会)などで改めて処方期間の在り方を検討するよう要望する」との日医の見解を示した。
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