【株式会社メディチュア 代表取締役 渡辺優】
■入院患者の高齢化と病床の高回転化は相性が悪い
2024年度診療報酬改定では、これまでの改定と同様、病床高回転化が推し進められた。高回転化を促す改定項目として、急性期病床では⼀般病棟用の「重症度、医療・看護必要度」(看護必要度)の厳格化がまず挙げられる。救急搬送患者の評価日数の短縮や急性期一般入院料1でADLの評価項目が削除されたため、看護必要度の要件を満たす患者が入院直後から急速なペースで減ることになる。
加えて、DPCでは機能評価係数II の効率性係数の計算式が変更された。点数設定では、B方式の拡大やE方式の導入など、病院経営を意識すれば着実に対応したい見直しが入った。
また後方病床では、地域包括ケア病棟入院料(入院医療管理料)が入院41日目以降に下げられた。療養病棟入院基本料では、中心静脈栄養を開始してから30日を超えて実施する場合の医療区分の引き下げなどが挙げられる。
一方で、多くの病院では入院患者の高齢化が進み、早期退院・転院が難しいケースが増えており、病床の高回転化への課題感は年々高まっている。
急性期病床から地域包括ケア病床・回復期リハビリテーション病床などへの転院・転棟で課題となるのが、これらの後方病床の不足感である。不足感には2つの原因がある。1つ目は、そもそも病床数の少ない地域がある。75歳以上の人口当たりの病床数を比較すると西高東低であり、関東地方や東北地方では不足感が強い。
2つ目は、地域包括ケア病棟や回復期リハビリ病棟の“出口問題”である。これらの病棟の入院患者は病態によって自宅に帰ることは難しく、療養病棟や介護施設などへ移ることが少なくない。病床機能報告(22年度報告、21年度実績)で地域包括ケア病棟や回復期リハビリ病棟の入退棟ルートを見ると、地域包括ケア病棟からの退院先は介護施設が15%程度、転院が5%程度。回復期リハビリ病棟は介護施設が20%弱、転院が10%弱となっている=グラフ1=。
転院では、急性期病院などに送られるケースもあるものの、療養病棟や介護施設に相当数が移っていることが分かる。
しかし、それらの病棟や施設にもなかなか空きが出ず、結果、地域包括ケア病棟や回復期リハビリ病棟が空かないケースが生じてしまう。地域によっては、それらの病棟が少ない上に出口問題も生じ、なかなか空きがでない所もある。
■22年度改定、地ケアの在宅患者支援病床初期加算で優遇された老健からの受け入れ
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次回配信は7月24日5:00を予定しています
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