認知症対応型共同生活介護(認知症グループホーム)による医療連携体制加算の在り方の議論が、社会保障審議会・介護給付費分科会で23日に行われ、算定率が低調な加算(II)と加算(III)への対応が論点となった。加算(II)と加算(III)では看護職員を事業所の職員として常勤換算で1人以上確保する要件があるが、人件費のコストが加算に見合わないとして、評価を引き上げる要望が出た。
医師や看護職員の配置が必須となっていない認知症グループホームでは、医療ニーズのある利用者に適切に対応できる体制を整えている事業所を、医療連携体制加算(I)-加算(III)で評価している。
具体的には、医療連携体制加算(I)では、看護師を事業所の職員として、または病院や診療所などとの「連携により」1人以上確保していることが要件だが、加算(II)と加算(III)では、看護職員を「事業所の職員」として「常勤換算」で1人以上配置することとなっている。
厚生労働省の「介護給付費等実態統計」(2022年8月審査分)によると、医療連携体制加算(I)は14万98カ所の事業所の80.4%が算定していたが、加算(II)は1.3%、加算(III)は2.3%しか算定していなかった。
医療連携体制加算(II)と加算(III)を算定していない理由としては、「事業所で対応できない医療ニーズがある場合は、入院あるいは退居(医療ニーズに対応できる事業所へ転居)となってしまう」(69.8%)に次いで、「人件費等のコストが加算額に見合わない」(36.3%)が多かった。
こうした状況について、田母神裕美委員(日本看護協会常任理事)は、訪問看護との連携が進むような評価の引き上げが求められるとし、「認知症グループホームでの最期まで支えるケアは利用者や家族のニーズが非常に高く、この点に即した評価をする必要がある」と強調した。
また、医療連携体制加算(II)と加算(III)は、看護体制要件に加えて医療的ケアが必要な人の受け入れ要件も満たす必要がある。算定日が属する月の前12カ月間に、喀痰吸引を実施したり、
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