【株式会社メディチュア 代表取締役 渡辺優】
■後発医薬品の数量シェアは約80%に
後発医薬品の数量シェアは、2010年頃から20年頃までに急速に高まり、22年9月の薬価調査の速報値では79.0%に達している=グラフ1=。
少子高齢化が進む環境下、限られた医療財源を効率的に活用するため、政府は後発医薬品の使用を推進してきた。具体的には、「経済財政改革の基本方針2007」において、12年度までに後発医薬品の数量シェア30%以上(先発品も含めたシェア)を達成する目標が設定された。その後、段階的に目標数値が引き上げられ、「経済財政運営と改革の基本方針2015」では17年央までに70%以上(後発医薬品に置き換え可能な医薬品における後発医薬品のシェア。以降、後発医薬品の数量シェアはこの数値を指す)とするとともに、18年度から20年度末までのなるべく早い時期に80%以上を目指すこととされた。「経済財政運営と改革の基本方針2021」では、全ての都道府県で23年度末までに80%以上にすることとされた。
また、バイオシミラーについては「経済財政運営と改革の基本方針2017」で言及され、経済財政諮問会議の経済・財政一体改革推進委員会の社会保障ワーキング・グループにおいて、29年度末までにバイオシミラーに80%(数量ベース)以上置き換わった成分数が全体の成分数の60%(成分数ベース)以上を目指すこととされた。
■安定供給に不安を抱えた現状において明確にした推進の方向性
ただし、目下、後発医薬品を中心に多くの品目が出荷停止などの状況にあり、安定供給に大きな課題が生じている。その結果、多くの医療機関では後発医薬品の採用などを大きく見直しせざるを得ない状況であり、後発医薬品使用体制加算などの診療報酬上の要件を満たすことなどにも支障を来たしている。このような状況については厚生労働省の「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」で議論が行われ、23年6月にまとめられた報告書では、「業界再編も視野に、品目数の適正化や適正規模への生産能力強化を進め、少量多品目生産といった構造的課題を解消する観点から薬価の在り方を検討する」などの方向性が示された。
これらを踏まえ、23年6月16日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2023」において、後発医薬品などに関する方針が示された=資料1=。
また、同基本方針2023の注記で、「後発医薬品への置換えは数量ベースで約8割に達しようとしているが、金額ベースでは約4割と諸外国と比較しても低い水準」と言及され、6月29日の社会保障審議会医療保険部会において、金額ベースのシェアが4割程度であるとの資料が示された=資料2=。
医療保険部会の議論については、部会当日中にCBnewsが「後発薬の政府目標「金額ベース」に、年度内に見直し」として報じており、金額ベースの目標設定により、さらなる使用を促すことになりそうである。
■後発医薬品の使用推進に
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次回配信は7月19日5:00を予定しています
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