【株式会社メディチュア 代表取締役 渡辺優】
■認知症患者のいない病棟の方が珍しい
入院患者の高齢化が進んでいる。認知症は高齢なほど有病率が高い。そのため、入院患者における認知症の有無を見れば、専門病院入院基本料や特定機能病院入院基本料では認知症ありの割合が低いが、それ以外はどの入院料も認知症ありが1割を超えている=グラフ1=。1病棟40床、認知症ありの割合を1割として、ある1日に1病棟の入院患者40人のうち認知症ありの患者が1人もいない確率は1%程度となり、ほぼあり得ない。療養病棟入院料では認知症ありの割合が4割を超えており、同様に1病棟40人が全員認知症でない確率も、かなり低い。
小児病院や専門病院などの例外を除けば、どの病院でも、どの病棟でも、認知症患者がいないことはほぼなく、いることを前提に治療・ケアの提供をしなければならない。
認知症症状の悪化を予防し、身体疾患の治療を円滑に受けられるよう看護師などの専門知識を有する多職種から構成される認知症ケアチームなどが適切に対応することへの評価として、認知症ケア加算の診療報酬が設定されている。この加算の算定対象は、認知症高齢者の日常生活自立度判定基準のランクIII以上(重度の意識障害は除く)である。
中央社会保険医療協議会の「入院・外来医療等の調査・評価分科会」が行った調査結果を見ると、急性期一般入院料1では入院患者の16%程度がランクIII以上であった=グラフ2=。
認知症患者に質の高い医療を提供し、診療報酬による評価を得る。この取り組みは、高齢化が進む中で今後、より重要性が高まるだろう。
■認知症ケア加算の算定をしたくても届け出の難しい中小病院
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次回配信は7月5日5:00を予定しています
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