【株式会社メディチュア 代表取締役 渡辺優】
■期間II超えは予定入院か否かで分ける
DPC算定病院では、施設基準のクリア、およびDPC制度の階段状の逓減制点数や、機能評価IIの効率性係数を意識した入院単価向上を意図し、病床の高回転化が進んでいる。ただこの2年間はコロナ禍で退院調整が困難になったことや、診療機能を制限した影響で、高回転化がやや緩和された所もあった。
また、稼働率維持と高回転化のバランスは、病院経営を考える上で悩ましい。病院によっては、コロナ対策で空床を確保しておかなければならないことも事情を複雑にしている。ただし、基本は高回転化の余地を把握した上で、状況に応じて取り組みの推進を判断する病院がほとんどだろう。その際、DPC算定病院では期間II超えの割合などの指標を用いて課題把握をすることが一般化している。
A病院を例に挙げると、病院全体では7割弱が期間II以内に退院している=グラフ1=。ただし、予定入院に限ってみれば8割強が期間II以内であり、一方、予定外入院や救急医療入院では6割に満たない。
予定入院患者は、手術や検査を目的とした入院で、予定外入院・救急医療入院患者に比べ、病態も想定しやすい。多くの病院で予定入院患者の多くはクリニカルパスで計画的に入退院していく。そのため、期間II以内の退院割合が高くなるのは当たり前である。
一方、予定外入院・救急医療入院患者は一般的に期間IIを超える割合が高い。特に、転院や介護施設に退院する必要のある患者は、ある程度病態を読めるか、病態が落ち着いてから退院調整を開始する。そのため、予定入院に比べ期間IIを超えてしまう患者が多いのは致し方ないだろう。
DPC算定病院において、予定外入院と救急医療入院を合わせた割合の分布を見ると、50%前後がピークとなる正規分布になっている=グラフ2=。
(残り1782字 / 全2553字)
次回配信は4月12日5:00を予定しています
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】