【株式会社メディチュア 代表取締役 渡辺優】
■中小病院にハードルの高い緊急整復固定加算の届け出
2022年度診療報酬改定において、高齢者の大腿骨近位部骨折に対する適切な治療を評価する観点から、骨折観血的手術(大腿)に対する緊急整復固定加算および人工骨頭挿入術(股)に対する緊急挿入加算が新設された。
施設基準として5年以上の経験を有する常勤の整形外科医2名、常勤の内科医1名の配置が求められている。また、75歳以上かつ骨折後48時間以内の手術実施が算定対象となる。そのため、加算1件4,000点という点数が魅力であるものの、ハードルはそれなりに高い。
直近の届出状況を確認すると、全国で485施設が届け出ていた=グラフ1=。
都道府県別に見た場合、病院数の多い東京や大阪、愛知、福岡の届出施設数が多いのはごく自然なことだろう。なお、緊急整復固定加算および緊急挿入加算の算定には、二次性骨折予防継続管理料1の算定が求められる。二次性骨折予防継続管理料の届出施設のうち、3割弱が緊急整復固定加算を届け出ていた=グラフ2=。 (残り1319字 / 全2188字) 次回配信は12月21日5:00を予定しています
二次性骨折予防継続管理料1の届出施設の7割以上が届け出ていない。病床規模別にその内訳を見ると、200床未満の施設には緊急整復固定加算および緊急挿入加算の届出割合が低い=グラフ3=。恐らく、前述の医師要件などのクリアには、施設の規模が大きく影響しているものと思われる。また、日本脆弱性骨折ネットワークのレジストリへの症例登録などの要件も、地味にハードルが高く、組織力の違いを反映しているように感じられる。
■緊急整復固定加算の届出施設は、超急性期脳卒中加算の届出割合が高い
さらに、緊急整復固定加算および緊急挿入加算と相関係数の高い届出項目について調べた。最も相関係数の高い項目は、緊急整復固定加算の算定要件となる二次性骨折予防継続管理料1であった。他に相関係数の高い項目には、地域医療体制確保加算、感染対策向上加算1、外来腫瘍化学療法診療料1、超急性期脳卒中加算などが挙げられる。
救急搬送受入件数が年2,000件以上を要件とする
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