【北海道介護福祉道場 あかい花代表 菊地雅洋】
他の世代と比較できないほど多くの団塊世代の人が2022年以降、続々と75歳に達する。そのため、日本は長期の人口減少局面にある中、後期高齢者を中心に65歳以上の人が2042年ごろまで増加し続けると予測されている。
それは同時に、認知症の人も増えることを意味する。認知症を発症する最大のリスクが加齢だからだ。そのため、25年には65歳以上の4人に1人が認知症になると試算されている。加えて、年齢相応の認知力の衰えと、より深刻で病的な意味合いの強い認知症の間の状態である軽度認知障害の人も増える見通しだ。その人たちは、将来認知症になる可能性がより高い「認知症のハイリスクグループ」に属する。
このグループの人に対して、認知機能の低下を防ぐように何らかの形で介入できれば、認知症になる人の数を減らすことができる。さらに、定期的にフォローアップを行うことで発症を早期に診断することができ、より特異的な治療の介入を行うことができる可能性もある。
だからこそ、介護施設や居住系施設、定期的にケアを行う通所型サービスの場で、ごく自然に利用者の認知機能の状態を測定でき、楽しみながらそれを維持するためのトレーニングを受けてもらうことに大きな意味がある。従って、認知症の簡易判定や、認知機能の低下を予防するトレーニングがより重要だ。そのため、介護現場でも簡単に実施できる、長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)やミニメンタルステート検査(MMSE)などを用いた評価を受ける人も増えている。
10年ほど前なら、こうした簡易評価を行おうとするだけで、「自分をばかにするのか」と憤慨する高齢者が多かった。しかし、今ではそれらの検査に対する拒否感を持つ人も少なくなり、検査や評価を行うこと自体で生じるトラブルも大幅に減った。とはいっても、長谷川式やMMSEによる検査などは、被験者の置かれた状況や評価する人の質問の仕方、習熟度などの影響によって結果に大きなブレが生じることがあり、正確な状況を把握しづらいという弱点がある。
さらに、それらの簡易評価の最大の弱点は、検査・評価自体が少しも面白くないこと。評価を受ける人が、楽しんでそれに臨む形になりにくいのが最大の欠点だ。
■画期的な認知症簡易評価ツールが登場
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