政府が改革工程表2019で位置付けていた薬剤自己負担の引き上げについての検討で、社会保障審議会・医療保険部会は、自己負担引き上げに対しては賛否両論があったことを示すにとどめた。一方、それ以外の薬剤給付の適正化策として、セルフメディケーション税制拡充などの検討、スイッチOTCを含むOTC薬全般の使用を進めるべきとの意見があったことを挙げ、「上手な医療のかかり方」と「セルフメディケーション推進策」を講じるべきとする議論の整理案をまとめた。【ライター 設楽幸雄】
医療保険部会が2日、薬剤自己負担の引き上げに関する議論の整理案として了承した。
薬剤自己負担の引き上げは、改革工程表2019の記載を受けて、医療保険部会として検討したものだが、その導入を強く主張していた財政制度等審議会は、11月25日にまとめた21年度予算編成に関する建議でも、▽市販品類似薬や費用対効果の良くない医薬品を給付除外し保険外併用療養費制度を活用▽重要度を踏まえた薬剤の種類に応じた患者負担割合の設定▽年間の薬剤費で一定額を超えた金額は一部について保険給付とする-などの検討を求めた。
しかし、その建議から1週間後に開催された医療保険部会は、薬剤自己負担の引き上げについては、▽市販品類似薬は保険給付からの除外や償還率の変更も考えざるを得ない▽薬剤自己負担の引き上げについて、諸外国の例も踏まえ、財政効果が得られるように見直すべき-との賛成論を挙げる一方で、▽医療上の必要性に応じて適切な医薬品を選択できるよう担保することが必要▽市販薬の有無で取り扱いを変えるのは理解し難い-との反対論を併記するにとどめた。
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