【株式会社メディチュア 代表取締役 渡辺優】
■理想は病態・アウトカム評価だが、医療資源投入量・在院日数での判断もやむなしか
診療報酬制度としてのDPC/PDPS制度(以下、DPC制度)は、開始からの年数経過により、制度自体の成熟化が進んだ。階段状の日数・点数設定であるD方式の適否や機能評価係数II、DPC病院群の評価基準などといった多少の見直しは、今後も改定ごとに続くだろう。しかし、肺炎、脳梗塞など一部疾患に適用されたマトリックス方式などは、適応が拡大されるかは分からない。前回の改定議論で大きな論点となっていないことを考慮すると、次回改定でも大きな見直しはないかもしれない。
制度が成熟していく一方で、DPC制度への参加施設数は、2020年4月時点で大学病院本院群82施設、特定病院群156施設、標準病院群1,519施設と計1,757施設まで増えた。さまざまな「急性期」の施設が参加することで、新たな課題に対する議論も進められてきた。入院医療等の調査・評価分科会では、平均在院日数と診療密度が分布から大きく外れる施設があることが指摘された=資料1=。
資料1 DPC制度からの退出などの対応検討について
厚生労働省 2019年度第5回入院医療等の調査・評価分科会(2019年7月25日開催) 資料から引用
ここでの主な指摘事項は、以下にまとめられた通りである=資料2=。
資料2 DPC/PDPS等作業グループにおける分析で指摘された懸念事項
厚生労働省 2019年度第9回入院医療等の調査・評価分科会(2019年10月3日開催)資料「DPC/PDPS 等作業グループにおける分析について(報告)」p1から引用(赤字は筆者の色付け)
DPC制度の特徴である「包括払い」において、経営的なプラスを追求するには医療資源の投入をいかに抑えるかが大事となる。通常は、必要性のない無駄な医療資源投入を抑制することでこの投入量を抑える。しかし、悪意を持って捉えると、患者のアウトカムを犠牲にしてでも投入量を抑えてしまいかねない。そのため、経営的なプラスがある以上、「粗診粗療があるのではないか」との疑念を晴らすことは難しいだろう。
この疑念を晴らすには、
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次回配信は11月11日5:00を予定しています
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