【株式会社メディチュア 代表取締役 渡辺優】
■効率的で切れ目のない医療・介護のサービス提供に不可欠な入退院支援
地域包括ケアシステムの推進には、「患者が安心・納得して退院し、早期に住み慣れた地域で療養や生活を継続できる」(2016年度診療報酬改定資料より引用)ことが大事である。そのため、16年度改定で、より早期の介入や、病棟への人員配置、周辺医療機関やケアマネジャーとの連携を評価する「退院支援加算1」が新設された。それまであった退院調整加算は、同要件のまま「退院支援加算2」に改定された。18年度改定では、予定入院患者に対する支援を評価する「入院時支援加算」が、「入退院支援加算」への加算として新設された。
近年、病床の高回転化が進む環境下において、退院困難な患者に対する介入・支援は、病院のサービスの質向上という面から重要な取り組みである。それに加え、診療報酬でも点数が付くことから、病院経営的にも重要な取り組みと認識されている。
しかし、取り組み状況は病院間でばらつきが大きい。そして、病院幹部レベルと現場担当者レベルで、どの程度取り組めばよいか一致した「正解」を持ち合わせていることもほぼない。そのため、病院幹部からは「もっと算定できないか」とプレッシャーをかけられていることも珍しくない。しかし、限られたマンパワーで取り組みを拡大していくには限界がある。そこで、データ分析の切り口(今回)と病床機能報告データの分析(次回)から、取り組みの参考となる目安を紹介したい。
■入退院支援加算の取り組みを加速させるための5つの切り口
入退院支援加算に限らず、さまざまな加算や管理料、指導料に共通して言えることだが、患者背景や診療内容を無視した他病院との比較はあまり意味がない。そこで、他院との比較のみならず自院の月次比較などにおいても、取り組みが見えるデータ分析の5つの切り口を挙げて、X病院の算定状況を基に考えてみたい。
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次回配信は7月17日5:00の予定です
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