【株式会社メディチュア 代表取締役 渡辺優】
■低下の続く病床利用率
季節変動や、地域間・病床種類間の格差はあるものの、病床利用率は低下傾向が続いている=グラフ1=。おそらく、診療報酬改定による効率的な医療提供へのプレッシャーは、利用率低下の要因の一つだろう。
グラフ1 病床利用率推移
厚生労働省 病院報告を基に作成
以前、DPC公開データから入院患者数の変化を見た。病床規模や人口動態の影響を受け、全身麻酔患者などが集約化されていることをマクロに示した。(「全麻患者の大病院への集約化が加速する需要減少地域」)
そこで、今回は、特定の地域を取り上げ、どのような変化が生じているのかミクロに見てみたい。
■富山医療圏(富山市周辺)の状況
富山医療圏の医療機関における入院件数は、2016年度まで続いた増加傾向から、17年度は減少に転じた=グラフ2=。
グラフ2 富山医療圏の医療機関 DPC年間入院件数推移
厚生労働省 DPC公開データ(18年度公開、17年度実績)を基に分析。13―17年度の毎年度データを提出している病院を対象に集計
また、富山医療圏内の居住者のみの入院件数も17年度は減少に転じた=グラフ3=。医療圏ごとの居住者の入院件数推移は、DPCデータ提出対象病院が年々増えていることや、団塊の世代が急性期医療を受けるピークに差し掛かっていることから、多くの医療圏では件数が増え続けている。実際、医療圏ごとに16―17年度の件数を比較したところ、全国合計では7割の医療圏が増加していた=グラフ4=。ただし、都道府県別の結果から、その比率は地域によって大きく異なっていることも分かる。
(残り1912字 / 全2608字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】