【千葉大学医学部附属病院 副病院長、病院経営管理学研究センター長、ちば医経塾塾長 井上貴裕】
2018年度診療報酬改定では妊婦加算が新設された。妊婦に対して初診または再診を行った場合、初診料(282点)、再診料(72点)あるいは外来診療料(73点)に加算される仕組みだ=図=。
図 妊婦加算の概要 クリックで拡大
中央社会保険医療協議会総会(2018年12月9日)資料より
妊婦の外来診療については、胎児への影響を考慮した上で投薬を行うなど、細心の配慮が求められるため、妊婦加算は、日本産婦人科医会・日本産科婦人科学会からの要望を踏まえた上で評価されたという背景がある。これに対して、医療機関から十分な説明がなされなかったり、コンタクトレンズの処方であったりしても妊婦加算が算定されており、妊婦の経済的負担が大きくなるという国民の声を反映して政府・与党から批判の声が上がった。
妊婦加算は通常の診療とは異なり、胎児への影響や妊婦にとり頻度の高い合併症など、診断が困難な傷病に対する診療を評価したものだった。だとすれば、コンタクトレンズで妊婦加算が算定されるのは不自然だし、患者側にとって違和感が拭えないのは事実だ。批判の声も、もっともと言える。
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次回配信は1月21日5:00の予定です
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