【医療法人社団浅ノ川金沢脳神経外科病院 事務部経営企画課課長 川腰晃弘】
今後も急性期入院医療の評価指標として「重症度、医療・看護必要度」(以下、看護必要度)が用いられるとするならば、前回記事でも触れたように、現行の看護必要度は、まだまだ課題が多いと感じている。今回は事例を交えながら、問題点や今後の展望について私見も交えつつ考察する。
■A項目「専門的な治療・処置」について
脳神経外科専門病院である当院で、最も症例数が多いのは「脳梗塞」だ。急性期の脳梗塞では、血栓回収術等の手術治療も行うが、圧倒的に注射薬による薬物治療が多い。脳梗塞を扱っている病院に共通することだろう。
看護必要度のA項目「専門的な治療・処置」では「抗血栓塞栓薬の持続点滴の使用」として、急性期における脳梗塞や冠動脈疾患等に対する薬物治療を評価している。薬剤としてはアルテプラーゼ(rt-PA療法)、アルガトロバン、ヘパリンナトリウム等がある。しかし、同様に脳梗塞の急性期治療に用いられるエダラボン(脳保護療法)や、オザグレルナトリウム(急性期抗血小板療法)は含まれていない。一方で「抗悪性腫瘍剤の内服の管理」では、比較的長期間かつ慢性的に服用する薬剤でも、評価対象となっている。
ここで疑問なのは、看護必要度で評価すべきは“その薬剤を使用していること”なのか、それとも“その薬剤を使用して急性疾患の治療を行っていること”なのかだ。急性期入院医療の提供を評価したいのであれば、後者であるべきではないか。抗血栓塞栓薬の例で言えば、“脳梗塞の急性期治療を行っていること”を評価すべきであり、そうであれば、急性期治療にしか用いないエダラボンやオザグレルナトリウムも評価されるべきと考える。
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次回配信は11月13日5:00の予定です
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