【社会医療法人祐愛会織田病院 看護師長 認知症看護認定看護師 市丸徳美】
前回は、DCU(Dementia Care Unit、認知症ケア専用区画)を導入した経緯をご紹介しました。今回は、DCU導入後の取り組みの効果や課題をお話しします。
■DCU利用対象者の把握
当院では、入院が決定した65歳以上の方には入院時スクリーニングを実施しています。また、75歳以上の方には、2種類の専用シート「いまの状態みるしるシート」1)「おうちでの様子チェックシート」1)も利用しています。入院前の日常生活の様子や認知症の行動心理症状の有無などについて情報を収集しながら、認知症高齢者の日常生活自立度を判定しています。日常生活自立度がランク3以上と判定された方のうち、行動心理症状が強く、日常生活に支障を来している方に、優先的にDCUを利用してもらいます。
入院による環境の変化や身体的状況の不調などは、認知症の方に混乱や不安を引き起こしやすいため、日常生活での支障の有無を把握し、早期にケア計画を立てた上で、予防的な対応を含め、介入しています。
■DCUにおける認知症ケアの実践
(1)認知症ケアチームの発足と介入
2016年度診療報酬改定では「身体疾患を有する認知症患者のケアに関する評価」が追加されました。身体疾患により入院した認知症患者に対する病棟でのケアや多職種チームの介入を評価することが目的です。
当院では14年から認知症ケアチームの基礎となる「DCUプロジェクト」が始まっていたので、チームの体制をスムーズに構築でき、16年4月から「認知症ケア加算1」も算定できました。認知症ケアチームは、医師(認知症サポート医)、社会福祉士、認知症看護認定看護師のほか、病棟看護師長、病棟看護師、薬剤師、理学療法士、作業療法士、心理士、管理栄養士、医事課職員で構成しています。
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