経済産業省はこのほど、「医療・介護領域等における第4次産業革命の動向等に関する調査」の最終報告書※を公表した。報告書では、医療分野で人工知能(AI)を活用していく上での障壁などを、主に産業振興の視点から紹介している。将来AIが医療や介護の現場に浸透し、業務を変えていく可能性もある。現時点での課題を見てみよう。【大戸豊】
※デロイトトーマツコンサルティング合同会社に調査委託
■医師の判断支援ツールが広がりつつある
タイトルにある「第4次産業革命」とは、IoT(Internet of Things、モノのインターネット)やビッグデータ、AIなどによる技術革新を指す。経産省は今年5月にまとめた「新産業構造ビジョン」で、第4次産業革命に向けた規制改革などを提案している。
今回の報告書は、ヘルスケア分野での技術開発や事業化への課題の検討が目的で、「IoT/センサー」「EHR基盤」「AIによるデータ分析・活用」など8分野を取り上げている。
AIによるデータ分析・活用でまず考えられるのが、画像や検査結果の解析を通じた医師の診断支援だ。例えば、皮膚がんの患者数千人の画像を学習したAIをメラノーマの高精度診断に利用するなど、単一のソースのデータを単一の疾患に活用するケースだ=図1=。
図1 AIの活用のされ方の定義 クリックで拡大
経産省「医療・介護領域等における第4次産業革命の動向等に関する調査 最終報告書」より
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