【株式会社メディチュア代表取締役 渡辺優】
■14年度と16年度改定を経てもワイングラス型のまま
4年前の社会保障審議会の医療保険部会・医療部会で示された「ワイングラス型」から「砲弾型」への図は、読者も一度は見たはずだ。
図1 2025年に向けワイングラス型から砲弾型への転換が求められている(2013年9月社会保障審議会医療保険部会・医療部会で示された資料)
厚生労働省平成26年度(2014年度)診療報酬改定資料より
この資料の「基本的な考え方」は3点に集約される。
1.急性期病床の効率的な利用の促進
2.ポストアキュート、サブアキュートの受け皿整備
3.在宅医療の推進
医療提供体制を、今後の人口動態と医療需要の変化に合わせる上で重要で、地域が一枚岩となって取り組む必要があるテーマだ。しかしながら、2014年度、16年度の診療報酬改定では、病院経営に強い向かい風が吹き、医療機関は病床機能を転換するのをためらった。結果的に、7対1、10対1の病床数はあまり減らず、転換が順調に進んでいる実感は乏しい。
今後の7対1、10対1の病床数を単純予測※すると、25年時点で7対1は約30万床となる。あくまで単純推計なので、このペースで推移するかどうかは定かではない。ただ現在の35.4万床から数万床減少しても、ワイングラスの形は少し口がすぼむ程度で、砲弾型には遠いと言える。
※中央社会保険医療協議会(中医協)の「入院医療等の調査・評価分科会」のデータを基に推計。17年以降の予測値は15-16年のグラフの傾きを当てはめている
グラフ1 7対1、10対1の病床数推移(2017年以降は2015-2016年のペースで変化し続けることを想定した予測値)
厚生労働省「平成29年度第3回入院医療等の調査・評価分科会」資料を基に作成
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次回配信は8月23日5:00の予定です
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