【株式会社メディチュア代表取締役 渡辺優】
■看護必要度厳格化に求められている取り組みを考える
前回は、「重症度、医療・看護必要度」(以下、看護必要度)のA項目(モニタリングおよび処置等)を厳格化した場合の影響について考察した。A項目の一部項目除外が機能分化にプラスに作用する一方で、項目除外は特定の疾患や年齢層への影響が大きいことから、データ分析などによる十分な検証が必要と指摘した。また、患者の受け皿確保の重要性も説明した。
今回は、看護必要度が厳格化された場合さらに重要度が増す、急性期病棟の退院支援と受け皿整備について考えてみたい。
■退院困難な患者の早期抽出・取り組みに対する評価「退院支援加算」
2016年度診療報酬改定では退院支援加算1が新設され、入院3日以内の退院困難患者の抽出が算定要件の一つになった=図=。一般病棟では600点、療養病棟では1200点と比較的高い点数が設定されたこともあり、人員配置などの高いハードルにもかかわらず、多くの病院がクリアしようと努めた。人員配置や周辺病院との関係構築・強化等が一気に進んだことから、診療報酬による誘導がうまくいったケースと言えるのではないだろうか。
図 2016年度診療報酬改定で新設された退院支援加算の概要
厚生労働省保険局医療課 平成28年度診療報酬改定の概要(2016年3月4日版)から引用
例えばA病院では、予定入院以外の認知症患者の入院が特に長期化していた。そのため、認知症の患者、とりわけ予定入院以外の患者への早期介入を進めている。
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次回配信は6月21日5:00の予定です
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