厚生労働省は26日の中央社会保険医療協議会(中医協)の総会で、2018年度の診療報酬改定に向けた医療療養病棟の評価の在り方について、在宅医療を担う診療所と連携した看取り支援の機能の確保と、高齢者の機能維持に関するリハビリや退院支援の推進を論点として示した。診療側と支払側の委員からは、おおむね賛同する声が上がった。【敦賀陽平】
医療療養病棟をめぐっては、10年度の改定で2区分となり、より報酬が高い入院基本料1(20対1)には、医療区分2・3の患者割合が「8割以上」とする要件が入り、16年度の改定に伴い、入院基本料2(25対1)にも、医療区分2・3の患者割合が「5割以上」とする要件が新たに加わった。
中医協の調査では、退院支援の専従・専任スタッフがいる療養病棟の在宅復帰率は、20対1が48.0%、25対1が57.6%で、スタッフがいない病棟と比べ、共に10ポイント以上高かった。また、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が、常勤換算で計1人以上配置されている療養病棟では、計1人未満の配置よりも在宅復帰率が高かった。
ただ、医療法の施行規則では、医療療養病棟の看護職員の人員配置は原則20対1以上とされており、これに満たない病棟の人員配置は来年3月末までの経過措置となっている。このため、25対1の届け出数は減少している一方、20対1では増加傾向にある。
20対1では、医療区分2・3の患者割合も増加しており、届け出病棟の患者の約1割は、認知症高齢者の日常生活自立度のランクM(著しい精神症状や問題行動あるいは重篤な身体疾患が見られ、専門医療を必要とする)に該当し、死亡退院が退院患者全体の4割を超える。
また、医療療養病床100床当たりの年間の看取り人数は55.0人、年間のターミナルケア実施人数は47.1人に上り、いずれも介護療養病床の約2倍に達するが、個別に計画を立てて看取りを行っている医療療養病棟は、全体の35.3%にとどまっている。
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