来年春からの次期「医療計画」では、精神病床の基準病床数の算定式も大きく変わる。「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」を構築して、精神病床の長期入院患者の地域移行を進めるといった理念を掲げる次期「障害福祉計画」を踏まえたものだ。ポイントを紹介する。【佐藤貴彦】
基準病床は、地域ごとの性別・年齢階級別人口などを踏まえた病床の必要数。既存の病床数が基準病床数を超える病床過剰状態の地域では、知事が増床などを認めないこともあるため、「病床規制」の制度とも呼ばれる。精神病床の場合、基準病床数は都道府県単位で設定される。
従来の精神病床の基準病床数の算定式は=図1=、見直し後の式は=図2=の通り。
従来の算定式は、精神病床の機能分化や地域医療体制の整備を掲げた「精神保健医療福祉の改革ビジョン」を踏まえて設定されていた。
同ビジョンは、厚生労働省が2004年に取りまとめたもので、新たに入院する患者がなるべく1年以内に退院できるような医療提供体制の整備や、既に1年以上入院している患者の計画的な地域生活への移行を進めるために、10年後に向けた数値目標を掲げていた。
このため、従来の算定式では入院1年未満の入院ニーズ(図1の上段)と1年以上の入院ニーズ(中段)の量をそれぞれ算出し、精神病床の必要数を推計していた。
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